「求人広告は出しているのに、問い合わせが月に1件あるかないか」。訪問看護ステーションの管理者から、こうした声を聞くことは珍しくありません。利用者は増え、現場はフル稼働。それなのに看護師が採れず、一人あたりの訪問件数だけが積み上がっていく——多くのステーションが、同じ悩みを抱えています。
採用がうまくいかない原因を「人手不足だから」の一言で片づけてしまうと、打ち手が見えなくなります。実際には、人材市場の構造、求人の見せ方、そして採用に割ける時間という、3つの異なるレイヤーの問題が重なっています。ひとつずつ分けて考えていきましょう。
看護師は「選ぶ側」にいる
在宅医療のニーズは年々広がっていますが、訪問看護に従事できる看護師の数がそれに追いついているわけではありません。結果として、看護師は複数のステーションを比較し、条件の良い職場を選べる立場にあります。
ここで効いてくるのが、待遇そのものよりも「情報の伝わり方」です。給与レンジが近い2つのステーションがあったとき、求職者は何で決めるのか。多くの場合、それは「働いている自分を具体的にイメージできるかどうか」です。直行直帰ができるのか、オンコールは月に何回まわってくるのか、入職後どれくらい同行してもらえるのか。こうした疑問に求人が答えていないと、応募の前段階で候補から外れてしまいます。
「訪問」という働き方への不安
病棟勤務の経験はあっても、訪問看護は未経験という看護師は少なくありません。一人で利用者宅に伺い、その場で判断する場面が多いため、「自分にできるだろうか」という不安が応募のハードルになります。
採用がうまいステーションは、この不安に先回りして応えています。たとえば「最初の1か月は必ず先輩に同行」「困ったときはオンラインですぐ相談できる」といった受け入れ体制を、求人の段階で具体的に示す。逆に、こうした情報がないまま「経験者歓迎」とだけ書かれた求人は、未経験層を最初から取りこぼしてしまいます。
採用業務が、管理者一人に集中している
そしてもう一つ、見落とされがちなのが時間の問題です。多くのステーションでは、管理者が訪問にも出ながら採用も担っています。応募が入っても、日中は利用者対応で連絡が返せない。夜にようやく折り返すと、その間に他社で面接が決まっていた——こうした「対応の遅れによる取りこぼし」は、現場が忙しいほど起こりやすくなります。
採用は、応募が来てからのスピードがそのまま結果を左右します。初回連絡が翌日になるか、その日のうちに返せるかで、面接につながる率は大きく変わります。
求人の「中身」を変えるだけで応募は動く
ここまでを踏まえると、採用改善の第一歩は、媒体への出稿量を増やすことではなく、求人原稿の中身を見直すことだとわかります。具体的には、次のような情報を盛り込めているかを点検してみてください。
- 1日の訪問件数と、おおよそのスケジュール
- オンコールの頻度と、手当の有無
- 入職後の同行期間・教育の流れ
- 直行直帰や記録のIT化など、働きやすさにつながる仕組み
- どんな利用者層を担当するのか(小児・精神・看取りなど)
これらは「条件」というより「入職後の毎日」を伝える情報です。求職者が知りたいのは待遇の数字だけではなく、その職場で働く自分の一日です。
採用代行(RPO)は、何を代わりにやるのか
採用代行(RPO)は、人材紹介や派遣とは性質が異なります。人材紹介が「人を紹介して成功報酬を受け取る」サービスなのに対し、採用代行は募集設計から応募者対応までの採用業務そのものを代行するサービスです。ステーションの「採用担当」を、外部の専門チームが肩代わりするイメージに近いと言えます。
具体的には、求人原稿の作成、媒体ごとの出稿管理、応募者への一次対応、面接日程の調整までを引き受けます。先ほど挙げた「求人の中身」も「応募後のスピード」も、専門チームが継続的に手を動かすことで底上げできます。
費用面でも違いがあります。人材紹介は採用が決まるたびに高額な成功報酬が発生しますが、採用代行は業務量に応じたプラン制が一般的です。採用人数が増えるほど、一人あたりのコストを抑えやすくなります。
内製と外注、どちらを選ぶべきか
すべてを外注するのが正解とは限りません。判断の目安になるのは、「採用が常時発生しているか」と「採用に充てられる人手があるか」の2点です。
欠員が出るたびに管理者が片手間で対応している状態なら、外注の効果は大きく出ます。一方、専任の採用担当がいて、媒体運用のノウハウも蓄積されているなら、部分的な支援にとどめる選択もあります。「面接だけは自分たちで」「母集団形成と一次対応だけ任せる」といった切り分けも可能です。
採れて終わり、ではない
最後に強調しておきたいのは、採用と定着はひと続きだということです。求人で職場を実態以上によく見せると、入職後のギャップが早期離職を招き、また採用からやり直すことになります。これでは採用コストが積み上がる一方です。
良い募集とは、たくさん集める募集ではなく、入職後に「思っていた通りだった」と感じてもらえる募集です。求人段階で職場のリアルを正直に伝えることが、結果的に定着率を高め、採用の総コストを下げていきます。
訪問看護の採用は、人材不足という外的要因だけでなく、求人の伝え方と採用に割ける時間という、自分たちで動かせる要素にも大きく左右されます。採用業務を専門チームに預けることで、現場が本来の看護に集中しながら、採用の質とスピードを取り戻せます。
株式会社ZENEDGEは、訪問看護をはじめとする業界特化の採用代行(RPO)を提供しています。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも構いません。まずは現状をお聞かせください。
